「というわけで、大晦日です」
「はいはい。12月31日ですね」
「後がないどんずまり」
「夢も希望もないですね」
「そりゃそうだ。今日今年の抱負を述べても実行する暇がない」
「今日が最後の日だものね」
「というわけで、年忘れスペシャル」
「何をしたいの?」
「なんか、世の中なめた子供が多いので、1つ『おまえらが絶対真似できない凄い技能を見せてやろう』と思った」
「へぇ。そんな凄い技能があるの?」
「ある」
「見せてよ」
「実はさっき、C#で書いていてローカル変数としてentityのtableをあらわす変数を用意する必要に迫られた」
「うん」
「順当に行くと、entityTableという名前だろうが、寿命の短さ、有効範囲の狭さ、役割の小ささに比べて名前が長すぎて偉そうだ」
「それで?」
「思わず、enttblと書いた」
「その話が凄い技能と何の関係があるのさ」
「だからこれだよ」
「へ?」
「昔のコンパイラやアセンブラはシンボル名6文字までというシステムがゴロゴロしていた。だから、どんな名前も最低限の可読性を残したまま6文字に短縮する技能をみんな持っていた」
「なるほど」
「でもさ。もう6文字制限なんてほとんど無い。おそらく1980年代ぐらいならもう新規ではあり得ない。古いシステムならあったかもしれないが、2010年現在、それももう既に引退済みだろう」
「おいおい。それじゃジャスト6文字に納めることにどんな意味があるんだよ」
「うーん、短くシンボルを書くことには意味があるケースもあるかな。いくら分かりやすいからといって長すぎるシンボルは可読性をかえって落とす場合もあるから」
「いやいや、6文字で納める意味はあるのかってことだよ」
「ははは。おそらくもう無い」
「なんて無意味な凄い技能だ。凄いけどまるで無意味だ」